顎関節症について
顎関節症の原因には、私たちが日常生活の中で無意識に行っている習慣が影響している部分も多く、こうした生活習慣は私たち自身で自覚し、改めることで症状の予防や緩和が可能です。
皆さんは夜寝つきが悪かったり、歯ぎしりを指摘されたり、また日常生活でストレスを感じることが多くあるのではないでしょうか。
実は、これらはすべて顎関節症の原因となる要因であり、ある疫学調査の結果によると日本の人口のおよそ7~8割は顎に何らかの症状を持っていると言われています。
顎関節症とは、顎の関節や顎を動かす咀嚼筋に異常が起こり、「顎が痛い」、「口が開きにくい」、「口を開いたときに音がする」といった症状が現れる病気です。
また、前述の通り、これらの症状を持つことは特段珍しいことではなく、特別な治療をしなくてもやがて改善に向かい、自然に治まることも多い病気でもあります。
ただし、口が開けづらく物が食べにくい、あるいは痛むなどして日常生活に支障があれば、歯科医院などでまずは検査を受けることをオススメします。
こちらでは顎関節症について詳しく説明していきます。
ぜひ参考にしてください。
顎関節症を引き起こす原因とは?
顎関節症の原因には、私たちが日常生活の中で無意識に行っている習慣が影響している部分が多く、こうした生活習慣を私たち自身で自覚し、改めることで症状の予防や緩和が可能です。
顎関節症の発症に関わる生活習慣(該当する数が多い方ほど要チェックです)
- 「歯ぎしりをしている」と言われたことがある
- 起床時、日中、気が付くと歯を食いしばっていることがある
- 食事のときは、いつも左右のどちらか決まった側で噛む
- 物事に対して神経質な面がある
- 職場や家庭で、ストレスを感じることが多い
- 夜、寝つきが悪い、ぐっすり眠れない、途中で目が覚める
上記の習慣は、顎関節症を引き起こすだけでなく、一度起こってしまうと長引かせて治りにくくする要因でもあります。
当てはまる項目の多い方は今一度生活習慣を見直してみましょう。
顎関節症の自己チェック(いくつか該当する人は顎関節症の可能性ありです)
顎関節症は自覚症状のまったくないという方でも症状の種が潜んでいる可能性があります。
また、一度起きてしまうと症状は長引き、治りにくくなる原因となってしまいますので、以下のチェック表で一度自己診断を行ってみましょう。
- 食べ物を噛んだり、長い間しゃべったりすると、あごがだるく疲れる
- あごを動かすと痛みがあり、口を開閉すると、とくに痛みを感じる
- 耳の前やこめかみ、頬に痛みを感じる
- 大きなあくびや、りんごの丸かじりができない
- ときどき、あごがひっかかったようになり、動かなくなることがある
- 人さし指、中指、くすり指の三本を縦にそろえて、口に入れることができない
- 口を開閉したとき、耳の前の辺りで音がする
- 最近、あごや頸部、頭などを打ったことがある
- 最近、かみ合わせが変わったと感じる
- 頭痛や肩こりがよくする
顎関節症の3つの症状と治療法
顎関節症は多様な症状や病態、原因からなる顎関節と咀嚼筋および頚部筋の障害をまとめた病名であり、こうした障害は様々な症状を引き起こします。
顎関節症の引き起こす主要な症状は次の3つです。
顎関節症の主な症状
1.顎を動かすとき(開閉時・咀嚼時)に痛みが生じる
顎関節症の第一の症状として、顎を動かした際に痛みが生じるといった障害が現れます。
また、顎運動時の痛みは2種類に分類され、滑膜炎、関節包あるいは円板後部結合組織における炎症による痛みによるものを「顎関節痛」と呼び、筋・筋膜疼痛で頭頚部および口腔顔面領域の持続性疼痛を「咀嚼筋痛」と呼びます。
2.口が大きく開かない
通常、顎関節に病気がなければ自分の人差し指から薬指まで3本の指を縦にして口に入れることができます(約40mm)。
指3本が入らない場合には、顎関節、咀嚼筋に何らかの異常があると考えるべきです。
3.開口時にガリガリ・シャリシャリと音が鳴る
咀嚼時や大開口時にガリガリ・シャリシャリと音がしたり、カックンといった関節音が生ずることがあります。
ただし、こうした関節音は痛みを伴う時以外は治療の必要はありません。
顎関節症の治療法
顎関節症は様々な要因によって引き起こされる病気であり、従来言われているかみあわせの異常は多くの要因の中の一つで主たる原因ではありません。
原因が異なれば、それに対する治療法も異なりますが、筋肉が縮まっていることで筋膜の三次元的なよじれを生み、痛みを作ると考えられています。
そのため、物理的に筋肉を引き延ばし、筋膜を整えることが推奨されています。
ボトックス療法
筋肉の引き延ばしを容易にし、筋膜を早期に整えることができるのがボトックス療法です。
通常、顎関節治療は 1 ヶ月程度から数ヶ月かかる治療ですが、ボトックス療法は数日で痛みを改善できる治療方法です。
関節痛を引き起こしている場合
顎関節症(TMD)は多くの場合、筋肉が痛んでいる病態ですが、もし、関節痛も引き起こしている場合には、関節への負荷を軽減させる目的でスプリント(マウスピース)を制作し、就寝中のみに装着することもあります。
お薬
顎関節症(TMD)は、内服薬があまり効きません。通常は痛み止めとしてアセトアミノフェンを、疼痛の強い方には非ステロイド系消炎鎮痛薬をお飲みいただきますが、他の治療方法と併用することが前提です。薬だけで良くなることはあまりありません。
慢性筋痛や広範囲の筋痛および痛み神経の過敏化に対しては三環系抗うつ薬が効果がある場合があります。
理学療法
筋痛に対しては安静をはかりながら、自宅でできる温罨法や大開口による筋ストレッチを練習します。
また、医院では超音波を用いた治療方法があります。症状の改善には、週に 1 回で最低 4 回程度は通院が必要です。